ペット信託
これからの時代は、人生100年時代を迎えると言われています。また、核家族化と相まって単身の高齢者世帯が増えており、一人暮らしの寂しさや辛さを癒すためにペットを家族の一員に迎えられるケースも増えてきています。 しかし、犬や猫といったペットを育てる一人暮らしの高齢者が、介護施設に入居したり、他界してしまうと、飼っていたペットは、誰かが手を差し伸べない限り、たちまち困窮し最悪の事態も生じかねません。
このような事態に備えるために、「ペット信託」という仕組みがあり、近年、コロナ禍における在宅時間の増加等で新たにペットを迎える世帯が増加していることから、「ペット信託」の注目度が高まっています。 「ペット信託」は、家族信託の仕組みを活用して、飼主の長期入院、施設入居、他界といった緊急事態が生じる前にペットの世話をしてくれる個人や法人等に養育費を託す契約を結び、いざというときに、ペットを飼育してもらう方に託す仕組みです。
受託者は自分で飼うか、動物アレルギーやペット不可のマンションに居住しているなど飼育が難しい場合は、施設やペットシッターに預け、飼育費を信託財産から支払います。 もし、受託者や施設での飼育状況や信託財産の使い道などをチェックする体制を整えておきたい場合には、信託監督人を選任しておけば、飼育状況や信託財産の使途を信託監督人が定期的に確認をし、不適切なところがあれば、受託者に是正を促すので安心です。
ペットを誰かに託す方法として、ペット信託以外に、負担付死因贈与や負担付遺贈といった民法に定められた方法がありますが、この2つの方法は、前者は飼育状況をチェックするすべがない、後者は遺贈者の意思で遺贈を拒否できるといった欠陥があり、ペットの安心な生活が担保できるものではありません。
その点、ペット信託は、飼主を委託者、信託財産(ペットと金銭)を管理する者を受託者、飼育する者を受益者として信託契約を結び、委託者が専門家を信託監督人に選任しておくことで、信託監督人が金銭の支出実績や飼育状況の監督を担うので、ペットの安心な生活が担保され、飼主が安心できる仕組みとなっています。ペットの行く末を案じられている方は、是非一度、ペット信託をご検討いただければと思います。
サポート業務内容
- ご依頼者からのヒアリング
- 信託契約内容の調整・協議(委託者、受託者、受益者等)
- 信託契約書の作成
- 金融機関との調整(信託口口座開設手続き)
- 信託契約後のアフターフォロー
事例1 ペット信託
ペット信託の具体的な事例
ペット信託で解決!
お母さまと長女の間で、お母さまを委託者、長女を受託者、ペットの飼育を託す友人を受益者、 2頭の猫と金銭を信託財産とするペット信託契約を締結します。
そして、お母さまにペットの飼育ができない状態が生じたら、ペットを友人に引渡し、飼育費用を長女から飼育者に定期的に支払います。
信託契約において、信託終了事由を、「猫2頭の死亡」と定めることで、愛猫が殺処分されることなく天寿を全うする環境を整えることができます。
そして、愛猫2匹の死亡により残余財産を帰属権利者である長女が受領し、信託契約が終了します。
委託者と受託者の信頼関係にもよりますが、ペットの飼育状況の定期的なチェックとフォローをご希望の場合は、信託監督人を選任することをお勧めします。