家族信託における金銭管理口座について

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今回は、家族信託契約で、金銭を信託財産とした場合、受託者(金銭を託された家族)の金銭管理用の口座には、信託口口座と受託者個人口座の2種類があるので、その違いを、双方のメリット、デメリットも含めて解説します。

信託口口座

信託口口座とは、信託契約にて信託財産と定めた金銭を、管理・運用するための専用口座です。
信託口口座のメリットは、分別管理機能(受託者個人の相続財産とはならない。)と倒産隔離機能(受託者個人の差し押さえ対象にならない。)が備わっているので、受託者の破産や死亡時にも信託財産にその影響が全く及ばないので安心です。

信託口口座のデメリットは、家族信託利用者の増加に伴って、徐々に増加傾向にはあるものの、まだまだ信託口口座を開設できる金融機関が少ないということです。
また、仮に取り扱う金融機関があったとしても、厳しい開設条件が設けられていたり、審査を通過し、無事開設できたとしても、ATMやネツトバンキングに対応していない金融機関であったりするので、使い勝手も含めて慎重に検討する必要がありそうです。

受託者個人口座

文字通り受託者本人の個人口座です。家族信託実務では、信託契約書の中で、受託者個人用口座(金融機関名、預金種別、口座番号)を金銭管理用口座に指定し、利用することとなります。この口座のメリットは、受託者最寄りの金融機関で手軽に開設できますし、ATMやネットバンキングにも対応しているので、信託口口座と比べると、使い勝手が大変良い点です。

一方、デメリットは、信託口口座の真逆で、分別管理機能と倒産隔離機能が備わっていないので、受託者の破産、死亡時に信託財産にその影響が及ぶリスクがあることです。例えば、信託財産が受託者個人の債権者から差し押さえを受けたり、相続人に承継されるリスクがあるので注意が必要です。