今回は、信託財産に自宅やアパートなどの収益不動産が含まれる家族信託手続きを、専門家に任せずに、自分で行った場合の費用(実費部分)と専門家に任せた場合の報酬について、それぞれ解説します。
まずは、実費部分ですが、財産額に応じて、3万円~11万円程度の公正証書作成費用と不動産の所有権移転登記にかかる登録免許税(不動産の固定資産評価額の0.3~0.4%)が必要となります。
次に専門家に、家族信託のプランニング、家族間調整、金融機関、公証役場等関係窓口との調整など信託契約の事前準備を任せる場合は、専門家へのコンサルティング報酬が必要となります。この報酬は、専門家毎に異なりますが、相場感としては、家族信託普及協会が定めた報酬基準(下表)に倣う専門家が多いようです。
また、コンサルティング報酬とは別に、信託契約書作成の対価として、契約書1通あたり10~15万円程度の作成報酬を定めている場合もあります。ちなみに当事務所の場合は、通数に関わらず、コンサルティング報酬に含んでいるので、ご安心頂けると思います。
最後に不動産の所有権移転登記および信託登記申請を司法書士に委任する場合は、1件あたり10~15万円程度の司法書士報酬が必要です。
それでは、上記をもとに、評価額3,000万円の不動産の信託契約手続きの全てを専門家に委任した場合の費用を試算してみましょう。
1.公正証書作成費用3~11万円
2.コンサルティング報酬33万円
3.信託契約書作成報酬10~15万円
4.所有権移転、信託登記報酬10~15万円
5.4にかかる登録免許税9~12万円
合計65万円~86万円
いかがでしょうか? 家族信託を導入するには、かなりの初期費用がかかりますが、成年後見制度と比べても、家族が当事者であることから報酬などのランニングコストが不要で、全体コストを低く抑えることができます。そして何より、不動産の組み替えや活用など、生前の相続対策が老親の健康状態に関わらず、相続直前まで継続できるので、積極的な資産運用をお考えの方は、是非一度、家族信託の導入をご検討頂ければと思います。